いつもより睡眠時間が短くなったり、寝不足が続いたりすると、ズキズキとした頭痛が起こることがあります。
これは「休みなさい」という身体からのサインで、寝不足と頭痛は密接な関係があることが知られています。
寝不足による頭痛を緩和するために、コーヒーを飲むという人も少なくありませんが、飲む量やタイミングを誤ると、かえって頭痛が悪化することも。
本記事では、寝不足による頭痛にコーヒが効果的な理由や最適な飲み方についてわかりやすく解説します。
寝不足による頭痛にコーヒーは効果的?
コーヒーに含まれているカフェインには、脳の血管を収縮させる働きがあります。
そのため、寝不足による頭痛が起こっている時にコーヒーを飲むと、拡張していた血管が元に戻り、痛みが一時的に和らぐ場合があります。
頭痛には大きく分けて片頭痛と緊張型頭痛があり、コーヒーを飲んで痛みが和らぐ可能性があるのは「片頭痛」の場合です。
張型頭痛で筋肉が緊張している状態でコーヒーを飲んでしまうと、収縮した血管が血流を悪くさせてしまい、頭痛がさらにひどくなる恐れがあります。
そうならないためには、頭痛の原因が片頭痛なのか緊張型頭痛なのかを正しく知る必要があります。
寝不足で頭痛が起こるメカニズム
睡眠不足になると、脳の血管が拡張したり、収縮したりするリズムが乱れます。
そのような状態が続くと、血管が拡張し脳への血流量が増えて頭痛を招く原因になることも。
さらに、睡眠不足で筋肉が緊張すると血管や神経が圧迫され、頭痛が起こりやすくなると言われています。
このように、寝不足による頭痛は、このようなメカニズムで起こってしまうのです。
また、緊張型頭痛と片頭痛とで頭痛が起こるメカニズムや痛み方や対処法も異なります。それぞれの頭痛の特徴について詳しく見ていきましょう。
まずは、寝不足による頭痛が緊張型頭痛なのか片頭痛なのかを確かめる必要がありますね。
緊張型頭痛
- 頭全体が締めつけられるように痛む
- 痛みが首筋にまでおよぶ場合もある
- 同じような痛みが毎日起こる
- 動くと痛みが軽くなる
- 温めると楽になる
- めまいや肩こりを伴う場合がある
緊張型頭痛は、頭部または首から肩にかけての筋肉が凝り固まるような状態が長時間続いたときに起こりやすい頭痛です。
カフェインは血管を収縮させる効果があるので、緊張型頭痛のときにコーヒーを摂るとさらに血流が悪くなり、頭痛が悪化することもあるので注意が必要です。
片頭痛
- 頭の片側に起こることが多い
- 脈打つような痛み(ズキンズキン、ガンガン)
- 痛みは1~2時間でピークになり、4~72時間続く
- 吐き気や嘔吐を伴う場合が多い
- 動くと痛みが悪化する
- 五感が鋭くなり、周囲の光や音を不快に感じることがある
片頭痛は何らかの要因で脳の血管が拡張することによって引き起こされます。
具体的には、血管が周囲の三叉(さんさ)神経を刺激し、その刺激で発生する炎症物質がさらに血管を拡大させるために痛みが起こるとされています。
カフェインには脳の血管を収縮させる作用があるため、コーヒーを飲むと痛みの原因である拡張していた脳血管が収縮し、片頭痛が和らぐ場合があります。
寝不足で頭痛になりやすい人の特徴
寝不足で頭痛になりやすい人は生活習慣やストレスなど、根本的な問題を抱えている人が多い傾向にあります。
主に寝不足で頭痛になりやすい人の特徴は以下のとおりです。
ストレスを感じやすい人
ストレスは、筋肉の緊張を引き起こします。これが首や肩の筋肉に影響をあたえ、頭痛が起こりやすくなります。
また、ストレスを感じやすい人は、交感神経が優位になり、血管が収縮して頭痛が起こることも。
ストレスを受けると脳の血管に影響し、ホルモンバランスにも影響をあたえます。
ホルモンバランスが乱れると、脳の血管が収縮と拡張を繰り返すため、脳への血流が減少し、酸素が不足することで頭痛が起こるとされています。
不規則な生活習慣を送る人
頭痛には、夜更かしや睡眠時間の不規則さなどが大きく関係しています。
睡眠不足やストレスの結果として頭痛が現れることが多く、特に偏頭痛や緊張型頭痛のリスクを高める原因にもなります。
健康的な生活を維持するためには、毎日同じ時間に寝起きするよう心がけ、栄養バランスの良い食事を適切な時間に摂るように心がけましょう。
運動不足の人
運動不足になると、体の活動消費量が低下し、体内のエネルギー消費量が不十分になります。
そのため、運動不足の人は血行不良になりやすく、筋肉がこわばったり緊張したりすることで緊張型頭痛が起こりやすくなります。
寝不足による頭痛は、ストレスや生活習慣の乱れから
起きている場合があるのか。
寝不足による頭痛を和らげるコーヒーの飲み方
寝不足解消にコーヒーは有効ですが、飲み方によっては逆効果になることもあります。
寝不足による頭痛を和らげるのに効果的なコーヒーの飲み方をいくつか紹介するので、ぜひ試してみてくださいね。
頭痛が始まった初期に飲む
コーヒーを摂取する時間の目安は、頭痛が始まった初期に飲むようにしましょう。
頭痛が始まってから30分以内であれば、カフェインの効果が期待できるとされています。
一般的には、カフェインの覚醒作用は摂取後30分〜1時間程度でピークに達し、4〜6時間ほど効果が持続すると言われています。
1日マグカップ2~3杯程度に
寝不足による頭痛にコーヒーが効く場合がありますが、カフェインの過剰摂取は逆効果になるため、飲み方に注意が必要です。
カフェイン量は1日400mg以下のカフェイン摂取量(マグカップ2〜3杯程度)に留めておくとよいでしょう。
また、濃いコーヒーよりも、薄めのコーヒーを選び、カフェインレスコーヒーや、デカフェと呼ばれるカフェインを抜いたコーヒーを活用するのもおすすめです。
ペーパーフィルターで淹れる
ペーパーフィルターには、カフェイン以外の苦味成分や雑味を抽出する効果があるため、頭痛のときはペーパーフィルターを使うのがおすすめです。
また、水出しコーヒーもおすすめです。水出しコーヒーは、アイスコーヒーよりもカフェインが少なく、苦味も少ないので、頭痛がひどいときでも飲みやすいですよ。
ちなみに深煎りコーヒーは、苦味が強く胃腸を刺激する可能性があるため、あまりおすすめできません。
寝不足による頭痛でコーヒーを飲む際の注意点
寝不足による頭痛が起きた際にはコーヒーを飲むのは効果的です。
しかし、飲み方を誤ると十分な効果が得られないばかりか、かえって症状が悪化する恐れがあります。
寝不足による頭痛が起きた場合は以下のことに注意して飲むようにしましょう。
空腹時は避ける
空腹時にコーヒーを飲むと、胃腸を刺激し、頭痛が悪化する可能性があります。
カフェインは胃酸の分泌を促進し、胃もたれや吐き気などの症状を引き起こすこともあるので、空腹時のコーヒー摂取はできるだけ控ましょう。
どうしても空腹時に飲みたいときは、軽食や果物などと一緒にコーヒーを飲むのがおすすめです。
カフェインの吸収が緩やかになり、胃腸への負担を和らげます。
飲み過ぎない
コーヒーの飲みすぎは頭痛を悪化させるだけでなく、不眠やイライラ、動悸を引き起こすことがあります。
一般的に、1日400mg以下のカフェイン摂取量であれば安全と言われており、これはレギュラーサイズのコーヒー約4杯分に相当します。
体重や体格によって適切なカフェイン量は異なるので、自分に合った量を飲むようにしましょう。
コーヒー以外で寝不足による頭痛を解消するには?
寝不足による頭痛はコーヒーを飲むことで一時的に症状が和らぐ場合もありますが、手元にコーヒーがない場合や、コーヒーが口に合わないと言う人も中にはいるでしょう。
ここでは、コーヒー以外で寝不足による頭痛を解消する方法をいくつかご紹介します。
ただし、効果の感じ方には個人差があり、頭痛の種類や人によってはかえって痛みが悪化する場合もあるため、注意が必要です。
休息を取る
十分な休息をとることも頭痛の解消法の一つです。
寝不足によって頭痛が起きた場合は、体を十分に休ませることで症状を和らげられます。
まとまった休息がとれないという人は、15~30分程度の短時間の仮眠でも効果がありますのでこまめに休息をとるよう心がけましょう。
適度な仮眠は夜間の眠りの質を高めてくれるため、仮眠を習慣づけることで、より健康的な生活を送れるようになります。
冷やす・温める
緊張型頭痛の場合、首筋や肩を温めることで血行が促進され、筋肉の緊張がほぐれやすくなります。
蒸しタオルや温湿布、お風呂などが効果的です。
片頭痛の場合は、こめかみを冷やすことで血管の収縮を促し痛みを和らげます。
保冷剤や冷却シート、市販の冷却用ヘッドバンドなども活用するようにしましょう。
「緊張型頭痛は温める」「偏頭痛は冷やす」対処法を間違えないようにしましょう。
市販の頭痛薬を使用する
休息をとっても改善しない場合には、市販の頭痛薬の服用が有効です。
頭痛薬は症状に合った薬を選び、服用する前には必ず説明書をよく読み、用法・用量を守って服用するのが大切です。
持病がある方、他の薬を服用中の方は、医師や薬剤師に相談しましょう。
頭痛がひどい場合は医療機関を受診
睡眠や休息をとることで痛みが和らぐ一次的な頭痛なら、過度に心配する必要はありませんが、頭痛がひどい場合は医療機関を受診しましょう。
とくに、これまで経験したことのない頭痛や吐き気をともなう頭痛は、大きな病気が隠れている場合があります。
痛みが持続する場合や、休息をとっても痛みが治まらない場合は、重篤な病気が隠れている可能性があるので、早めに医療機関を受診することが重要です。
頭痛の原因である寝不足を解消するには?
寝不足による頭痛は、寝不足を解消しない限り根本的な解決には至りません。
ここでは、寝不足による頭痛を予防するための対策をご紹介します。
適度な運動をする
日常生活に適度な運動を取り入れることで、寝不足が解消できるかもしれません。
ウォーキングやジョギング、ヨガなど、自分に合った運動を習慣的に行うことで、ストレス解消や血行促進効果が期待できます。
まとまった時間を確保するのが難しい方は、車での買い物を徒歩に変える、一つ手前のバス停や駅で降りで歩くなど、日常的に歩く習慣をつけるのもよいでしょう。
自分の体調や体に合わせて無理のないペースで続けることが大切です。
ストレスを溜めない
ストレスが溜まると、睡眠に悪影響を及ぼします。
適度な運動や趣味など、ストレス解消法を見つけることが大切です。
十分な睡眠を取る
寝不足を解消するには、やはり睡眠時間を確保することが重要です。
しかし、日々の生活の中で、思うように十分な睡眠が取れていない人も多いことでしょう。
十分な睡眠を取るために、以下のことを心がけてみましょう。
- 寝る直前にカフェインやアルコールは摂取しない
- 寝る直前にスマホやパソコンは見ないようにする
- 寝る前に軽いストレッチをする
- 寝室を暗くして静かな環境にする
- 寝る前にぬるめのお風呂にはいる
日常生活の中ですぐに取り入れることができることばかりですので、自分にできる範囲で無理なくおこないましょう。
寝具を見直す
睡眠時間を確保できていても、寝つきが悪い、途中で目が覚めるなどの問題がある場合は、一度寝具を見直してみるのも重要です。
たとえばマットレスなどの硬さや柔らかさが身体に合わないと、背中や腰に負担がかかり、痛みや不快感の原因になる場合もあります。
このような状態が続くと熟睡できずに疲れが取れず、寝不足を引き起こし、その結果として寝不足が続き頭痛に悩まされる結果につながりかねません。
自分の体に合った寝具を選び、定期的に見直すことで、睡眠の質を向上させることができます。
まとめ
今回は、「寝不足で起こる頭痛にコーヒーが効果的なのか」について解説しました。
- コーヒーに含まれるカフェインには、血管を一時的に拡張させる作用がある
- コーヒーを飲むと、片頭痛なら一時的に痛みが和らぐこともあるが、緊張型頭痛の場合は悪化する恐れもある
- 痛みがひどい場合は、コーヒーに頼らず市販薬を使用したり、医療機関に相談する
- コーヒーの過剰摂取は避ける
- 頭痛改善には、寝不足を改善する生活習慣を送ることが必要
いくら寝ても疲れが取れないなら、寝具を見直すタイミングかもしれません。
体に合わないマットレスを使うと寝心地が悪く感じるうえに、腰や首、背中の痛みなどの不調をきたす場合もあります。
寝心地の良いマットレスで寝不足知らずの快眠ライフを手に入れましょう。