眠れない日が続くと、いつもより落ち込みやすくなったり、気持ちが不安定になったりしますよね。
それもそのはず、睡眠不足とネガティブ思考には深いつながりがあるのです。
さらに、人はネガティブなことを考えていると、寝つきが悪くなります。
眠りたくても眠れない負のループが続き、睡眠負債が溜まっていくと、心身の健康にまで影響を及ぼすことも。
そんな負のループを断ち切るためにも、睡眠不足によりネガティブになってしまう原因や対処法を学びましょう。
睡眠不足だとネガティブ思考になる3つの理由
睡眠不足の時、ネガティブになってしまう理由は諸説あります。
ここでは主な理由を3つ紹介します。
① 集中力・判断力の低下によりミスが増える
人は寝ている間に思考の整理や体の回復を行っています。
十分な睡眠が取れていないと、疲労物質の排出ができていないため疲れが残ってしまいます。
疲れた状態だと目の前のことに集中できず、些細なミスが増えてしまいがちです。
ミスすると誰しも落ち込んでしまいますが、特に睡眠不足だとミスをネガティブに捉える傾向が強くなります。
ミスするとネガティブになって、さらなるミスを重ねてしまうことも。
そんな悪循環は避けたいですね。
② 脳の機能が低下して不安を感じやすくなる
脳の前方にある前頭前野は、記憶や感情などのコントロールします。
睡眠不足によって前頭前野の働きが低下すると偏桃体が興奮状態になります。
偏桃体は心の動き、特に恐怖や不安といったネガティブな感情に関わる器官です。
そのため偏桃体が興奮状態になると、物事をネガティブに捉えやすくなってしまうのです。
③ ホルモンバランスが乱れる
人は規則正しい生活を送っていると、適切なタイミングで必要な量のホルモンが放出され、心地よく生活できます。
しかし不規則な生活を送っているとバランスが乱れて、調子を崩してしまうことも。
まずは、神経伝達物質とホルモンがどのような働きをしているか確認しましょう。
- セロトニン【幸せホルモン】
セロトニンは精神を安定させる効果を持つ神経伝達物質。
セロトニンが十分に出ていると気分が安定し、ポジティブな考え方をしやすくなります。
セロトニンはまたの名を「幸せホルモン」と言います。
- メラトニン【睡眠ホルモン】
メラトニンは睡眠と覚醒のリズムを整える働きを持つホルモン。
メラトニンは夜になると分泌が増え、体内時計を調整し、眠りにつきやすい状態を作ります。
セロトニンはメラトニンを作る原料になるため、セロトニンの量が不足するとメラトニンも影響を受けます。
十分な睡眠がとれないと、脳内の神経伝達物質のバランスが乱れ、セロトニンが不足します。
セロトニン不足によって感情をコントロールする力が弱まり、不安やイライラといったネガティブな感情が強まりやすくなるのです。
また、セロトニンはメラトニンという睡眠に必要なホルモンの放出を促します。
セロトニンが出ていないと、メラトニンが分泌されないため、寝つきも悪くなるという悪循環に陥るのです。
そして、日常的に睡眠不足な状態が続くと睡眠負債が蓄積されていきます。
ホルモンバランスが乱れると、寝つきが悪くなる上に、ネガティブ思考も続いてしまいますね。
睡眠負債と寝だめ
睡眠負債とは、慢性的な睡眠不足が続き、まるで借金のように積み重なった状態を指します。
確かに、たくさん寝れば睡眠負債を減らせることもありますが、すべて解消できるとは限りません。
例えば、平日に十分な睡眠を取れなかった分を週末にまとめて寝ることで一時的に回復することは可能です。
しかし、長期間積み重なった睡眠負債は、いくら寝ても完全には取り戻せない場合があります。
そのため、借金と同じく、早めに返済することが大切です。
一方で、寝だめをして未来の睡眠不足を予防しようとする人もいますが、実はこれにはあまり効果がありません。
睡眠時間を事前に貯めることはできないのです。
だからこそ、日々の生活で必要なタイミングに十分な睡眠を取ることが一番ですね。
睡眠不足でネガティブ思考になる時の対処法
睡眠不足のせいでネガティブになってしまう時は誰しもありますよね。
そんな時はどのように対処すれば乗り切れるのか学んでいきましょう。
楽観的に物事を捉えてみる
ネガティブ思考に陥っていると何もかもマイナスに捉えてしまいますよね。
そんな時は、「こんなことは誰しもあるよね」「失敗しても人生終わるわけじゃないよね」と物事を楽観視してみましょう。
そうすると少しずつネガティブな思考が薄まります。
ポジティブ思考に近づいてきたら「なぜ失敗したのか」「どうやったら上手くいくのか」と改善に向けた思考が少しずつ始められるはずです。
ネガティブな時こそ自分の状況を楽観的に見て、ポジティブな思考に切り替えられるように意識してみましょう。
仮眠をとる
一時的に眠れる状況にいる場合は、10~20分程度の仮眠をとることをおすすめします。
仮眠をとって脳を休めることでリフレッシュしましょう。
ネガティブな気持ちも眠って忘れてしまいましょうね。
こまめに休憩を入れる
もしミスが続いてネガティブになってしまう時は、気持ちを切り替えるために休憩をこまめに入れましょう。
それでもネガティブ思考から切り替えられない場合もありますね。
必ずしも目の前の作業を今やらないと!という状況でなければ、日を改めるなどの対策をとることも検討しましょう。
呼吸を整える
ネガティブな時は呼吸が浅くなりがちです。
実は、心の動きをつかさどる偏桃体は呼吸にも関係しています。
不安やイライラで精神が乱れると呼吸も乱れてしまいます。
ネガティブ思考に陥った時は以下のやり方で深呼吸しましょう。
- 鼻からゆっくり息を吸い、お腹いっぱいにする。
- 口からゆっくり息を吐き出す。
- 息を吐く時は、吸った時の倍以上の時間をかけてゆっくり吐き出すことが重要。
- 上記の深呼吸を5回くらい繰り返す。
呼吸を整えてリラックスするとポジティブになれそうですね!
自分の感情を紙に書き出す
どうしても落ち込んで物事に手が着かないような時は、自分の気持ちを紙に書き出してみましょう。
このように思い浮かぶ感情や考えを紙に書き出すことをジャーナリング(書く瞑想)と言います。
自分の気持ちをありのままに吐き出すと、自分の気持ちが客観視できるようになり、気持ちも整理されるでしょう。
自分の今の状況や気持ちを俯瞰できれば、だんだんとネガティブ思考も落ち着いてきそうですね。
睡眠不足によるネガティブ思考を防ぐには?
睡眠不足によるネガティブ思考を防ぐには、十分な睡眠をとることです。
さらに言うと質の高い睡眠を十分な時間とることが理想です。
睡眠不足と睡眠障害
睡眠不足と睡眠障害は言葉が似ていますが状態は異なります。
睡眠不足は寝る時間が足りていないことを指します。
一方、睡眠障害は寝る時間を確保したとしても睡眠不足(あるいは過眠)の状態です。
睡眠障害は「寝つきが悪い」「途中で目が覚めてしまう」「眠りすぎてしまう」など様々な症状があります。
寝る時間を確保しても慢性的な睡眠不足で困っている方は医療機関への受診を検討しましょう。
質の高い睡眠をとるためにできる7つの習慣
質の高い睡眠をとるために、日常生活で何をすればよいのでしょうか。
本章では、質の高い睡眠をとるための7つの習慣を紹介します。
①寝る前にスマホやパソコンを見ない
眠気を催すホルモンであるメラトニンは、光によって分泌量がコントロールされます。
そのため昼間はメラトニンが減り、夜になると分泌量が増えてきます。
スマホやパソコンのブルーライトを浴びていると、夜でもメラトニンの分泌量が増えていきません。
寝る前にスマホやパソコンを見るのを控えることで、寝つきやすくなるでしょう。
どうしてもスマホが手放せない方はこちらの記事もチェック!
②規則正しい生活を心がける
毎日同じくらいの時間に寝て、同じくらいの時間に起きるという生活リズムが作られているとホルモンバランスも整います。
ホルモンバランスが整っているとより深い眠りにつくことができます。
生活リズムを整えて質の高い睡眠を手に入れましょう。
③日中適度な運動をする
日中にウォーキングやジョギングなど適度な運動をするとちょっと疲れますよね。
体が適度に疲れた状態の方が心地よく眠りにつけるため、積極的に体を動かしましょう。
④日光を浴びる
日光を浴びることでセロトニンの分泌が促され、メラトニンの分泌量も増えます。
昼間は積極的に外に出て日光を浴びることで、睡眠のリズムが整い、眠りの質も向上するでしょう。
晴れた日は外で散歩することが適度な運動にもなり、一石二鳥ですね。
⑤栄養を摂る
栄養バランスを考えた食事をとることが睡眠にも大切です。
特にトリプトファンという必須アミノ酸が多く含まれる食品をとることをおすすめします。
セロトニンはトリプトファンから作られているため、トリプトファンを多く含む食品を摂ればセロトニンの原料を増やせます。
トリプトファンが多く含まれる食品は豆腐や納豆などの大豆製品、チーズ・牛乳・ヨーグルトなどの乳製品、そして卵、バナナなどです。
食事に気をつかうだけで、睡眠の質も高まる上に幸せを感じやすくなれるなんて、良いこと尽くしですね!
⑥ストレスを溜めないようにする
ストレスが溜まると寝つきが悪くなりがちです。
眠ること自体がストレス解消にもなりますが、質の高い睡眠を得るためには日頃からストレスを溜めないことが一番です。
スポーツをする、カラオケで歌う、おいしいものを食べるなど、自分なりのストレス解消法を見つけておくと良いですね。
こまめにストレス発散しながら生活しましょう。
⑦寝る時の環境を整える
睡眠の質が低い原因の一つに寝具が自分に合っていないこともあります。
人は1日のうち約3分の1の時間を睡眠に当てています。
つまり、ベッドや布団の上で3分の1日を過ごしているため、寝具が自分に合っているかは非常に重要です。
十分な時間を睡眠に当てたはずなのに疲れが取れていないという方もいるかもしれません。
そのような時は習慣を整えるより先に、環境を整えることが質の高い睡眠を手に入れる近道かもしれません。
寝ても疲れが取れないような方はマットレスを見直すのもおすすめ!
まとめ
今回は「睡眠不足だとなぜネガティブになるのか」について解説しました。
睡眠不足がネガティブ思考を引き起こす理由と、睡眠不足を予防する方法をおさらいしましょう。
- 疲労が回復できず、集中力・判断力が低下してミスが増える。
- 脳の働きが低下し、感情のコントロールが難しくなる。
- ホルモンバランスの乱れにより不安を感じやすくなる。
- 寝る前にスマホやパソコンを控える(ブルーライト対策)。
- 生活習慣を改善する。
- 栄養バランスを整え、トリプトファンを含む食品を摂取する。
- 寝具を見直し、快適な睡眠環境を整える。
質の高い睡眠を手に入れるためにできることはたくさんありますね。
良い睡眠習慣を作ることで、ネガティブ思考を予防しましょう。
読者の皆様の健康な生活の手掛かりになれば幸いです。